Your search results

不動産会社は自宅で開業できる?宅地建物取引業法の定める事務所要件とは

弦本 卓也 2018年6月1日
0

宅地建物取引業法(宅建業法)では、原則として自宅での開業は認められていません。自宅はあくまで居住用のスペースであり、事務所としての利用は一般的ではないためです。

開業時に事務所を契約するとなると、通常は多額の家賃や敷金、礼金がかかります。とくに、事務所を賃貸で借りる場合には、自宅と異なり消費税が上乗せされることや、何ヵ月分もの保証金を上乗せで支払う必要もあるため、高額になりがちです。

そもそも不動産仲介業の開業では、60万円以上の弁済業務保証金分担金の支払いや、100万円前後の宅建協会への入会費用などを含めて、開業資金が多く必要になりますから、仮に事務所の家賃分の負担が減ることになると、新たに事務所を借りる必要はありませんから、非常に大きなメリットといえます。

そのため、たとえ難しい状況であっても、自宅の一部を事務所にできないかは検討してみる価値があるといえます。

宅地建物取引業法(宅建業法)の定める事務所の要件

各都道府県で発行されている宅地建物取引業法申請の手引には、不動産仲介業の開業の事務所として認めるための要件についての記載があります。

今回は、特に厳しいといわれている東京都の「宅地建物取引業免許申請の手引(国土交通大臣免許・東京都知事免許)」の基準を例に、事務所として満たすべき要件について紹介します。

宅地建物取引業法(宅建業法)の定める事務所の要件を満たしていれば、シェアオフィスやレンタルオフィス、自宅の一部などを事務所として使用することが可能です。

  • 自宅用とは別に、事務所専用の出入り口があること
  • 事務所とする部屋は他の部屋と壁で区切られていて、事務所として独立していること
  • 玄関から入って、他の部屋を通ることなく、廊下のみを通って事務所とする部屋にたどりつくこと
  • 事務所の部屋の内部は事務所としてのみ使っていて、他の用途で使用していないこと

これらは、宅地建物取引業の許可申請をする際に提出する写真や間取図などをみて判断されます。写真は20枚ほどを撮影します。それぞれの項目について、詳細にみていきます。

自宅用とは別に、事務所専用の出入り口があること

要件上では、自宅とは別に事務所用の出入り口があることが条件となっています。しかし、通例として自宅の玄関が1つしかない場合でも、そのすぐそばに廊下があり、その廊下に面して2つに部屋が別れている場合など、間取りによって認められています。

事務所とする部屋は他の部屋と壁で区切られていて、事務所として独立していること

事務所とする部屋は、それ以外の部屋とは独立している必要があります。そのため、仕切りなどで区切られた部屋である必要があります。高さ180cm以上の固定式の間仕切り(パーテーション)による区切りは有効ですが、ふすまなどで区切られている場合には独立しているとは認められませんので注意が必要です。

玄関から入って、他の部屋を通ることなく、廊下のみを通って事務所とする部屋にたどりつくこと

事務所として使用する予定の部屋までは、入り口から他の部屋を通らずに、廊下だけを通じて入室できる必要があります。また、その部屋に独自の入り口がある必要があります。そのため、多くの場合には玄関を入ってすぐ近くの部屋が事務所の候補になります。

間取りでは、たとえば玄関の前に生活スペースであるダイニングがある場合には、ダイニングを通らないと事務所とする部屋に入ることができないため、事務所とすることはできません。

事務所の部屋の内部は事務所としてのみ使っていて、他の用途で使用していないこと

事務所とする自宅の一部には、事務所として利用するものしか置くことができません。具体的には、固定電話、事務所用の机、接客用の机とお客様用の椅子などです。電話回線に関しても、すでに自宅で電話番号を持っている場合には、不動産業用の別の番号を契約する必要があります。

また、事務所として作業をするスペースとあわせて、来客時に接客のできるスペースも確保しなければなりません。接客のできるスペースのないような狭い部屋は事務所としては認められません。

また、室内に生活に必要なものを置いている場合にも、事務所として認められませんので注意が必要です。不動産仲介業は個人の資産に関する情報を多く扱う事業です。そのため、機密情報の書類などを適切に保管できる事務所が求められているのです。

マンションの自宅では管理規約を、賃貸の自宅では賃貸借契約を確認しよう

宅地建物取引業法申請の手引には記載のない場合でも、マンションの自宅での開業と賃貸の自宅での開業の場合には、契約上の違反がないかの確認が必要です。現在、東京都では承諾書の提出までは求められないようですが、他県では承諾書の提出を求められる場合もあるようです。

マンションの自宅は管理規約で事務所の利用が禁止されている場合がある

マンションなどの集合住宅では、居住者の生活の安全を優先するために、管理規約などで事務所の開業が禁止されている場合があります。不特定多数の出入りがあることで、住民同士でのトラブルが発生するのを防ぐためです。小規模な事務所の場合には例外的に開業が認められる場合もありますが、難しい場合が多いのが現状です。

たとえマンションの一室で不動産仲介業を開業できたとしても、ルールに違反するのは問題です。最悪の場合には賃貸借契約の解除や、マンションからの退去を求められる場合もあるでしょう。不明点がある場合には、事前にマンションの管理組合などに相談してみましょう。

賃貸で借りている自宅は賃貸借契約で事務所の利用が禁止されている場合がある

事務所にしたい自宅を賃貸で借りている場合には、賃貸借契約の記載に「住居以外の使用は不可」となっていないかを確認しましょう。契約時点では自宅を想定していることから、事務所としての用途を想定されていない可能性があります。賃貸で借りている自宅の場合には、管理会社や大家さんに相談してみましょう。場合によっては事務所としての使用を認めてもらえる場合や、賃貸借契約書を結びなおすことで条件をクリアできることがあります。

自宅が市街化調整区域にある場合には、用途変更が必要な場合がある

自宅が調整区域にあり、当時の建築許可の理由を自己居住用住宅として申請していた場合には、建築指導課に連絡して用途変更してを事務所兼用住宅にできるかを確認しておきましょう。

自宅は間取りと使い方次第で、不動産仲介業の事務所として使用できる

このように、自宅は間取りと使い方次第で、一部の部屋を不動産仲介業の事務所として利用できます。しかし、地域や条件によって、事務所として使用できるかの判断が異なります。自宅での申請を多数おこなっているプロの専門家に相談することも可能です。資料の作成の仕方や写真の撮り方でも、注意が必要な点がありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

なお、創業の当初は自宅の一部を事務所として使用した場合でも、後日、事業の規模の拡大とあわせて事務所を借りて移転するなどといった場合もあるでしょう。事務所の移転では、同一の都道府県内の場合には基本的に保証協会に支払う手数料などはありません。ただし、会社の本店を移転する場合には、住所変更のための登録免許税として、法務局の管轄をまたがない場合には3万円、管轄をまたぐ場合には6万円がかかります。

これらを踏まえても、自宅の一部を不動産仲介業の事務所として使用するのは、開業資金の節約になるため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

物件を比較